アンチトロンビン測定とヘパリンコファクターII

Q :アンチトロンビン(AT)測定においてトロンビンを用いる試薬ではヘパリンコファクターII(HC-II)の影響を受けると言われていますが、どの程度影響するのでしょうか。

A :HC-IIはATに次ぐヘパリン依存性のトロンビンインヒビターです。
ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸などの存在下でトロンビンのみを阻害します。
デルマタン硫酸は血管平滑筋細胞や繊維芽細胞で産生されることから、血管内よりもむしろ血管外の結合組織において創傷治癒や炎症の調節を制御していると考えられています。
血中のATと同様にヘパリンと結合しアンチトロンビン作用を示します。

ATの活性測定は合成基質法で測定され、第一試薬にトロンビン(FIIa)を用いる試薬と活性型第X因子(FXa)を用いる試薬があります。
HC-IIはアンチトロンビン作用のみであることから、Xa法では影響を受けません。
また、トロンビン法においても、以下の理由で影響は小さいとされています。

1.検量線作成時に使用する標準血漿はHC-IIを含んでいます。このため、正常血漿ではHC-IIの影響を含んだ検量線を作成していますので、ATの測定結果には影響されません。
2.ウシトロンビンを用いた試薬では、HC-IIの影響が少ないと言われています。

以上のことから、トロンビン時間法においてもHC-IIの影響は無視できる程度と考えられています。